ケーキ&フーズイマノ

住田銘菓かっこう

サクサク食感と、程よい甘さ
もう一枚食べたくなる、手作りだからこその味

　住田町で営業を続けて半世紀が過ぎ、街の菓子店として愛されている。先代は和菓子職人だったが、息子で二代目の今野一昭さんは、洋菓子の道に進む。県内の菓子店で修業後、東京の有名店「ル・サントノーレ」へ。約３年だったが、ここで腕を磨いたことが現在の礎になっている。

　それから約30年。厨房には妻、美由紀さんと、一昭さんの姉夫婦の４人で、製造から包装まで手掛ける。店頭には焼き菓子や生ケーキが並び、その隣で食料品も販売している。店番をするのは、母のミヨシさん。看板娘として、商品と共に笑顔を届けている。

　看板商品は、「かっこう」。住田町では、アツモリソウが咲く時期にかっこうが鳴くことから、親しみを込めて、花の名をかっこうと呼ぶ。かっこうは住田町の町花でもある。一昭さんが東京から戻り、厨房に立って数年後のこと。町の職員から「住田町を代表するようなお菓子を作ってほしい」と頼まれた。一昭さんは、屋根瓦の形をした焼き菓子「チュイール」を、「かっこう」の名で販売。たちまち評判となり、今では住田町の銘菓として県外にも多くのファンを持つ。

「かっこう」は、生地をスプーンで直径10㎝ほどのだ円形にのばし、オーブンで約20分。焼き立てでまだ柔らかいうちにトイ型パイプに載せて乾燥することで、花びらのような形状に仕上がる。全ての工程が手作業で、包装まで一枚一枚丁寧に。その姿勢が、味となってあらわれる。生地にはアーモンドがふんだんに使用されていて、食感がサクサク。甘過ぎないので食べ飽きることがなく、もう一枚手を伸ばしたくなる。

　もうひとつの人気商品「フィナンシェ」は、焦がしバターとアーモンドの粉の割合が絶妙。しっとりとした舌触りが楽しめる。