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稗めしの思い出(其の二)

 渡り鳥は稗が芽を出して大きく生長したことを確かめるようにして南国に帰っていく。 稗は旧盆頃から一斉に出穂が揃い、九月初め頃には早生種の稗苅が始まる。十月頃に中生種、十五日を過ぎると晩生種の白稗種が一番作付けがあった。

 此の頃を前後して恐ろしいのが、台風で収穫寸前にして一夜の内に大風のために熟した穂から稗がほろかれてしまい皆無に近い被害を受けることもある。

大風が吹くと深夜でも家族総出で稗畑へ駆け付け、長い棒を二人で持って茎を根から折り倒して風の抵抗を防ぐ、苅取った稗は暫くの間稗縞(ひえしま)にして畑に並べて置き、十月中旬頃に二米以上もある稗縞を人馬の背で家に運び脱穀する。


 臼を逆にして平の処に稗の穂を叩き付けて落としたものが俗に「カッチャ稗」という。この「カッチャ稗」は叺か麻袋に入れて、殆どが明春まで保存される。

翌春四月初旬頃に「カッチャ稗」を水に浸けた後、家の庭に設置してある「トナ釜」(牛馬の糧を暖める釜)に大きな甑(こしき)を乗せて一面に一俵程度の「カッチャ稗」を入れて筵(むしろ)でふたをして二時間位蒸した後、直ちに外の日光へ三時間位、筵に広げて乾燥したものを、水車等の臼で搗き、糠を取って精げたものを「ケシネ」という。「稗めし」は、この「ケシネ」に三割位の米を混ぜて炊いたものを通常「稗めし」という。

 来客等ある場合は、特に米の割合を増して五割位にして炊いても、米粒はあまり見えず「ケシネ」だけが目立ち、常食としている「稗めし」には昔から千菜(大根の葉を干したもの)汁が一番似合う。

冬の寒い時は、干菜汁に粉なんばん又は山椒の粉、紫蘇を粉にしたものを好みによって振り掛け、香辛料とした。

 「稗めし」には「トロロ」も似合うが昔の人は「トロロ」めし三日食うと「カマドキヤシ」と言って続けて食べさせなかった。「トロロ」をかけて食うと食欲が増し、倍量ものめしを食うからだ。

「稗めし」に「トロロ」をかけることを「ヒエトロロ」という。又別名を「カグラメシ」料理ともいう。その語源がなんのことがない「ヒエトロロ」という語呂が神楽の横笛の音に似ていることからもじってつけられた名だという。

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