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狐と蒸気機関車の衝突 (其の三)

 数日後、金田一駅員達からこの話しが伝わって、村人の幾人かの耳に入って以来、三狐達の役者振りが、次第に評判になって行くにつれて、大した偉いものだ、と評価するもの、ひどい悪戯するものだと言う人など、さまざまに騒ぎたてていたが、知っている人はほんの一部の人だけ。

 それから数日後、再び舞台を十文字川の鉄橋上に移し、夜も更け月明かりも薄明かりの頃だったようだ。金田一駅を発車して上りに向かって速度も増し進行中「上田面(かみたおもて)」の踏切を過ぎた頃、ここは直進のため鉄橋付近の下りに向かって来る、もう一つの汽車のライトが発見された。

距離が大分あったので、徐々にブレーキをかけながら進行したが、もう一つの汽車は全く進行してくる気配なく、三十間(五十米)位まで接近したが、ライトを照らしたままの汽車は停止していたのである。


 そこで機関士達は、現場へ行こうと降車して歩き出そうとしたら、先程まで立ち往生していた汽車は、ライトの明かりもなく物影らしいもの何一つなし、ただ薄明かりで線路の表面の鉄光りだけが見えるだけであった。やっぱり噂に聞いていたが狐の悪戯だ。これにも某機関士が乗車していたのである。


 此の前の事と言い今夜の事と言い、こんどは騙されるものかと急ぎ北福岡駅に向かって発車して行く。こんどの事件も金田一駅地区域内なので、又々駅員の話題となり駅員から一般人にも話しは広まるばかり。

 その後、国鉄盛岡では機関士達を集めて次のような訓示をしたと言う。

 今後、金田一付近を走行中、決して汽車の衝突などあり得ない事なので、何時でも何処の場所に拘わらず衝突を決行しろ。との事だった。

機関士達も、今度は決して騙されるものかと確信していたが以前に石炭を投げて悪戯した某機関士だけは、心に傷があるためか落ち着かない日々を送っていたようだ。

こんなに大げさなことになるとは、想像さえしなかったのであろう。


 又、狐達の方もしつこく攻め寄るのだった。悪戯した某機関士を狙っていたのである。

その後暫くの間はなんにこともなかったのでほっとしていた。これで終わりかと思っていた矢先に再び某機関士の乗車した機関車が狙われるのであった。


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