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狐と蒸気機関車の衝突 (其の二)

 一方、長寿寺裏方の通称「元禄森」から沢田の「板山沢谷」を境として、北方に「曲坂(マガチャカ)山」あり。ここの主こと「マガチャカまんこ」なり。

この狐も広範囲に亘って縄張りを持っていて、八坂神社の裏方西北の通称「天神山」と下平地区の「十二曲通り」までも行動し、深秋になると「秋葉山」や「田中の山こ」までもチョコチョコ姿を現し、夜になると叫び声さえ聞こえることがあった。と古老達の話しが今も尚語り伝えられている。


 此の狐達は何れも女狐であり、何時の頃誰が名を付けたともなく、此の頃既に、三狐達は綽名(あだな)呼ばわれ語り継がれていたと言う。

 話しは前に戻り、度々石炭を投げ付けられて、悪戯されていたいわこの方もこのまま黙って過ごしてみている分には行かない。

そこで友達の「トトメキとらこ」と「マガチャカまんこ」にこの事を相談したかは分からないが、某機関士の仕返しに支援することにしたのであろうか。此の三狐達が挙がって某機関士の敵討ちをする、と言う実に芝居もどき演技をするのである。


 因みに昔の線路は単線であったため、上り線下り線共にタブレット(通行票)を機関士が駅長さんからもらって、次の駅に届けない内は、絶対発車することがない仕組みになっていて、汽車の衝突など有り得ない。

 当時も事故は一件も起きていないのであるが、或る初秋の月明かりの晩、金田一駅を発車して、下りに向かって進行中の汽車が、小野部落と岩舘山下の中間にさしかかった時、ところが驚く可し、向こうからも上りに向かって照明を照らして、今一つの汽車が轟々と勢いよく進行して来るではないか。

機関士達はあわてたがブレーキも間に合わばこそ、あっと言う間に衝突したと思いきや、一歩手前で停まった。

胸をなで下ろした機関士達、直ちに降りてあたりを見廻したが、なんの姿も形もなく、あたりは静かに月の光だけがこうこうと輝いているだけだった。


 汽車は異常なく発車して行ったが、機関士達は口々に不思議なこともあるものだ、と話しながら下り方面に走って行った。一方上りに向かって進行してきた今一つの汽車が大胆不敵にもまさしく三狐達が化けた蒸気機関車だったのである。


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