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耳切天皇様

 昔々、大昔、この付近の神様方がお集まりになって重大会議をお開きになられた。  

 それは金田一及び付近一帯を海に変化して海産物の産地にしようとのご相談であった。ところがある神様は、この土地は古来より農業養蚕の土地であるので海にすることの不適当を論じ海化反対を唱えられた。しかし他の神様方は、誰一人としてこれに応じて下さらず既に海に変えると決定しそうになっていたので、自分の説を入れられなかった神様は、こんな馬鹿げた相談は「聞きたくも見たくもなし。」とて後の山にお戻りになり頂上に居られることになった。

 反対者のなくなった神様方がこれ幸とばかりに行動を始めた。日増しに工事が激しくなり、槌の響きが後の山までも聞こえる有様であった。それを聞いている苦しさに耐えかねた神様が、耳を斬り他の神様方に背をば向けて居られた。

 その後工事はまもなく終わり金田一及び付近一帯は海と化した。神様方は御満足の態であった。しかしその喜びも束の間、やがてある日のこと、大津波に襲われ神様方は皆逃げ場を失って溺れてしまわれた。唯、先の一神様のみは高い山にあって津波をのがれることが出来た。


 そして御心のままに金田一付近一帯は元のような原野に化され、農業養蚕の土地とし再び甦ったのである。このことあって以来、此の山を避難山と称しその神様を「耳切天皇」と呼び農業養蚕の守護神として祀ったという。

 現在避難山があっても耳切天皇の鎮座所は明らかでない。巫女の口よせによれば避難山の西向の所に鎮座されていると言う。そこで村の有志数名が今から五十年位前に十二曲付近の山をくまなく探し廻ったが遂に見あたらなかったと言うことであった。その後も三十年位前、下平の数人の者が探し回ったが見つけることが出来なかったと言う。

 現在通称十二曲の山の中腹に小さなお堂を建てて耳切天皇を祀っている。お仮屋の下田金四郎さんが長年このお堂を管理している。この山の頂上を避難山と今も呼んでいる。


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