幻の鉄道 その3


増資計画書のあらまし

東北鉄道鉱業株式会社増資計画書


昭和4年3月

東京市麹町区内幸町一丁目三番地
東北鉄道鉱業株式会社
専務取締役 松浦 五兵衛

優先株募集趣意書

 過去数年間の財界の不況は漸次回復の兆しを示し今や確実有望なる事業の勃興を促せり慈に我社の有する東北宝庫の開発事業に伴う天恵産物の輸送並びに一般的交通機関として東北人士の熱望に繋がれる東北鉄道敷設の速成を期せんとして鉄道敷設費優先株の発行を計画したり乞う大方諸賢振って御賛同を賜らんことを

本鉄道の使命

 産業立国を以て起たざるを得ざる我国に於いては須く富源の開拓に努めざるべからず此秋に当たり東北宝庫たる岩手県下閉伊の一大炭鉱と一大林業とを如何にして開発すべきかは看過すべからざる重大事に属せり又同時に東北文化と国防上必要なる交通機関の整備を解決せんと欲せば国有鉄道東北本線小鳥谷を起点とし太平洋沿岸茂師港並びに盛宮線(現在の宮古線)茂市駅を終点とる85里の鉄道貫通を速成せしめざるべからず之れ本鉄道の有する使命なり

 この計画書によると石炭の推定埋蔵量は3,600万トンで、炭質は「常磐炭の一等品、北海道及び九州炭の二等品に相当」するもので、汽かん燃料として最適とされた。この石炭を鉄道用燃料として国鉄に販売するために、小鳥谷−門間の鉄道建設が不可欠条件であった。小鳥谷−門間の建設費は660万円と見込まれている。

 この鉄道は最終的には国鉄の路線として買い上げられる。また国防上も重要であり、地域の産業・経済・文化にどれほど貢献するか計り知れないと、良いことづくめの内容である。だから資金を提供して下さい。という訳だが、工事が始まった当時は、当分の間地権者に無償で土地を提供してもらうというものであった。

 結局この計画は株式増資も予定どおり進まず(資金不払いのためか労働者の暴動事件などもあったという)挫折した。

 幻の鉄道名残の路盤跡は今でも姉帯地区の所々に見られるという。

 大富源下閉伊炭田の開発事業
     (その質と量)

 東北鉄道の真価
 国防と文化
 本鉄道の経過と特別利益
 本鉄道資金と一割配当優先株
 建設費概算書

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